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シライサン

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上映日:2020年01月10日 / 製作国:日本 / 上映時間:99分
ジャンル:ホラー

監督:安達寛高中田永一乙一) 主演:飯豊まりえ

鑑賞日:2020/7/29

鑑賞媒体:U-NEXT


【今作の★の数:★★★】 普通。

 

★の数について

★★★★★ 最高。おすすめ。

★★★★  良作。観て損なし。

★★★   普通。

★★    残念。

★    うーん。

 

<この映画は、こんな人にオススメ!>

・小説家・乙一のファンの人

・Jホラー作品を見慣れていない人(入門編としては本作はオススメ)

・少し切ないピュアな男女の恋愛模様が堪らない人

・作品を隅々まで見る人(エンドロール見終わるまで鑑賞を止めない人)

 

<オススメできない人>

・Jホラー作品が苦手な人

・人の形をした奇形な怪物が怖い人

・監督のネームバリューに期待し過ぎてしまう人


<あらすじ>

親友が目の前で、原因不明の眼球破裂により死亡するという痛ましい出来事に見舞われた大学生の瑞紀(飯豊まりえ)は、同じような症状で弟を失った春男(稲葉友)と知り合う。二人は共に事件を調べ始めると、瑞紀の友人と春男の弟は友達であり、とある温泉旅館に旅行に出かけた際に、宿に出入りする酒屋の青年から「シライサン」という怪談を聞いていたことが判明する。二人は、「シライサン」の謎を解こうとするが、核心に近づく二人にも、呪いが降りかかっていた……。

 

<感想>

小説家・乙一が本名の安達寛高名義で撮った初長編監督作品。
昔、監督の小説『GOTH』を夢中で読んだことを思い出しながら鑑賞。

↓ 第3回本格ミステリ大賞を受賞した名作。

 『GOTH リストカット事件』:文字通り人の手首を切断して集めるサイコパスに狙われた不幸を呼び込む美少女「森野夜」と内に怪物を抱える「僕」の物語をはじめとする連作短編集。「こんな面白い本があるのか!」と当時の自分は思ったものです。

 

作家・乙一は、エッセイ集の中で、映画についていくつも記述があるほどの映画好きだったので、個人的には、とてもとても期待して観た作品。

 

良かった点と残念だった点を以下に記述してみた。

 

<良かった点>

①非常にオーソドックスなJホラー作品という点

出来事の発端が、怪談を聞いた人々が呪われて死んでいくという、悪く言えば古めかしい、よく言えば非常にオーソドックスな作りになっている。

鈴の音の効果音とともにやってくるシライサンの不気味さだったり、呪われた者の夜の病院での流血死や、気が付くと後ろに立っているという陰湿な驚かせ方は、「どこかで見たシーン」ともいえるが、Jホラーの教科書に則っており、見慣れていない人にとっては普通に怖いと思う。Jホラー入門編としてはいい具合の作品だと思う。ただ、作品のヒロイン(?)ともいえるシライサンの造形は気持ち悪いので、拒否反応をする人はある程度はいるかもしれない。

 

②少し切ない男女の恋愛模様

これこそ乙一中田永一の真骨頂ともいえる。ホラー映画の中に、主人公・瑞紀と春男の男女の微妙な関係だったり、ラストで描かれる一抹の寂しさだったりを入れている。

普通のホラー映画ではなかなかに好まれない題材だし、そこにスポットを当てようとはおもわないだろうが、上手く作品のアクセントにしている。特にラストで感じられるシライサンの恐怖と寂しさのバランスは新しいのではないだろうか。いい意味で、どういう感情でそのシーンを見ればいいのか、自分はよくわからなかった。

 

③エンドロール

ネタバレになるので深くは語らないが、これもミステリ作家・乙一の一面。物語の途中で間宮というルポライターが登場してくるが、彼の存在が必要だったのかが、自分には分からなかった。エンドロールを見るまでは。

ルポライターの間宮の存在って必要だったのかな? 主役の二人にもっと焦点を当てたほうがいいのでは?」と思っていた所で、不意打ち気味にくるあの仕掛けは、【小説家・乙一】ファンはにやりとするのではないだろうか。

※人によっては、エンドロールで、「へー、そういういことか。……で、これが?」となるかもしれないが……。

 

<残念だった点>

①”Jホラー”に括られてしまうと弱い点

「シライサン」というこの世ざるものが出てくるジャンルホラー映画であるために、Jホラーのレジェンドである、伽耶子や貞子のようなガチガチのストロングスタイルと比較されてしまうと厳しい(彼女たちは確実に殺りにくる! だから絶望的な怖さがある)。

今作のシライサンはパワー不足感は否めなかった。

そして、Jホラー作品であるために、それが大きな欠点になってしまっている。

自分がよく見るYouTubeチャンネルに『シネマンション』という映画紹介チャンネルがあるが、そこで管理人の一人である映画好き芸人のジャガモンド・斉藤さんが言っていた

「シライサンは、ホラー映画界の働き方改革だね」と。

シライサンの性質を言っているのだが(作品を観てもらえばわかる)、それこそがまさに大きな減点材料となってしまっているのは残念。エンドロールの仕掛けに結び付けているとはいえ、これはなあ……、Jホラー特有の絶望感が薄れてしまってるからなあ……。

 

全体を通して、面白かったが、期待していたほどではなかった。

期待値が高すぎたともいえる。

残念。次回作に期待。

 

以下、作中、一番印象に残ったシーン。
【瑞紀と春男がシライサンとの遭遇したシーン】

瑞紀:(涙ぐんで)「すみません……ちょっといいですか……」
春男:「はい、俺見てます」

瑞紀涙を拭う。

 

緊張感のある場面で笑わせないでくれ。

 

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興味あれば覗いて見てください。

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