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ドクタースリープ

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上映日:2019年11月29日 / 製作国:アメリカ / 上映時間:152分
ジャンル:ホラー

監督:マイク・フラナガン 主演:ユアン・マクレガー

鑑賞日:2020/9/18

鑑賞媒体:NETFLEX


【今作の★の数:★★★★★】 最高。おすすめ。

 

★の数について

★★★★★ 最高。おすすめ。

★★★★  良作。観て損なし。

★★★   普通。

★★    残念。

★    うーん。

 

<この映画は、こんな人にオススメ!>

・前作『シャイニング』が好きな人

スティーブン・キング原作の映画が好きな人

レベッカ・ファーガソンが見たい人

 

<オススメできない人>

・『シャイニング』を観たことがない人

(原作・映画・テレビドラマどれかを知っていれば楽しめます)


<あらすじ>

ダニー・トランス(ユアン・マクレガー)は、40年前のオーバールックホテルの惨劇で、狂った父親に殺されかけたトラウマを抱えている。大人になった今も人を避けるかのように孤独に暮らす彼は、ニューハンプシャー州の小さな町フレイジャーに住みつき、幼少期より持つ”シャイニング(作中では超能力の意)”の能力などを使いでホスピスで働いていた。そんな彼と並行して、「帽子のローズ(レベッカ・ファーガソン)」を一員とする不老不死の怪物集団”トゥルー・ノット”は、アメリカ各地でシャイニングの能力を持つ子供たちを攫っては惨殺し、生気をすすっていた。幼い頃よりシャイニングの能力を持つアブラ・ストーンは、トゥルー・ノットの犯行を感じとり、ダニーに助けを求める。そして、ダニーは、トゥルー・ノットや自身のトラウマと対峙することになる。

 

<感想>

あの名作『シャイニング』の正式な続編。
スティーブン・キングの原作は未読。

とても面白かった。最高。

同じスティーブン・キングの原作でも『IT』の陰に隠れて、本作はあまり興行収入は芳しくなかったようが、鑑賞したファンの間では、「キューブリック版とキング版の両方を踏襲した良作」との評価がされているらしい。

キューブリック版と記載したのには理由があり、特に『シャイニング』を巡っては、キューブリック版とかオリジナル版とかの表現がされる。現代ではホラー映画の傑作と称賛されている『シャイニング』(スタンリー・キューブリック監督。1980年アメリカ映画)だが、原作者のキングが作品の解釈の違いを巡って、監督を散々に批判に、後にテレビドラマ版として撮り直すといういざこざがあった作品としても有名。

本作品の感想を「良かった点」と「残念だった点」に分けて、書いてみたいと思う。

 

 

 

 

<良かった点>

①『シャイニング』ファンへ捧げる物語の完結編。

物語の概要として、本作は前作の登場人物:ダニー・トランスの再生を描いた『シャイニング』補完の物語である。

そのため『シャイニング』ファンには堪らない前作を踏襲した数々のシーンが登場する。

 

 ・冒頭から幽霊となって登場するホテル料理人のディック・ハロラン

・『シャイニング』ではあまりに有名な「REDRUM」の綴り

・最後の対決の舞台となったあの場所に、彼の登場。

・割れたドアの穴から顔を覗かせたユアン・マクレガー。(パッケージにもなっているシーンで、これはもちろん『シャイニング』のパッケージ画像を連想させる作りになっている。自分は作中でこのシーンを見たときに、ジャック・トランスのセリフである「おこんばんは」と呟いてしまった)

などなど。

特に、物語の後半パートは、キューブリック版『シャイニング』を踏襲していて、好きな人には間違いなく嵌まれる作品だと思う。

本作とキングの『ドクタースリープ』の原作とでは、物語の結末が違うらしいのだが、あのラストシーンを含めて、ダニー・トランスの物語となっていて、キューブリック版『シャイニング』が大好きだった自分としては、とても堪能できた。脚本を書く際には、原作とキューブリック版の板挟みになっただろうことは想像に難くないが、この出来映えは素晴らしいと思う。

安らかに死へと導くもの「ドクタースリープ」。いいニックネームだと思う。

最後の「君はそのままでいい。輝き続けろ」というセリフも作品自体を象徴していてともて良かった。

 

レベッカ・ファーガソン

主人公たちと敵対する「帽子のローズ」という不老不死の怪物を演じているが、素晴らしい。

美人で、負けず嫌い。目的のためなら手段を選ばない利己的な役柄に、その美貌が見事にシンクロしていて、作中で、仲間の一人であるアンディが「今まで見た中で一番きれいな人」と表現していたが、圧倒的な華があった。

『ミッション・インポッシブル』の時とは、また違った幅の演技が出来るのも魅力。彼女観たさでBlu-ray買おうかな……。

 

スティーブン・キングの作品という安心感

映像化をするのに非常に向いている作家なんだとは思う。『スタンド・バイ・ミー』『グリーン・マイル』『ショーシャンクの空に』などの感動作品もあり多才な作家だが、基本的にはホラー作家として有名な人物。

恐怖の表現の分かりやすいさが、映像としての面白さにつながっていると思う。

「人にはトラウマってあるよね?」「そのトラウマって、これこれこういうものだよね?」と懇切丁寧に嫌なことを繰り返し説明して演出してくる辺りが、この作家の嫌らしさだと思うし、分かりやすさだと思う。

人間の内に秘めた狂気みたいな怖さではないが、分かりやすいから怖い。

※まあ、人によってはその表現が「単純すぎない?」と思う人もいると思うが。

映像化しやすいから、映画化に大きな外れがないし、大当たりを飛ばすこともある。安心して観れる原作者というアドバンテージは大きいと思う。

 

<残念だった点>

①楽しめる人を選んでしまう点

まず、第一に『シャイニング』を知らない人お断りの内容になっている。冒頭から、登場する237号室の亡霊やダニー・トランスの過去、そしてラストの展開など、物語自体が、前作をなぞって結末を描いているので、知識のない人は、理解が出来ないと思う。

第二に、キューブリック版の特徴でもあった「閉鎖された建物の中で狂人に追いつめられていく恐怖」という内容を想像して、本作を観ると……、中身は不老不死の化け物たちとのバトル物である。「はあ? なにこれ?」となってしまうかもしれない。さらに、この異能の化け物たちとのバトル物に一定の緊張感だったり絶望感があれば、鑑賞ポイントとして『シャイニング』を知らない人でも楽しめたかもしれないが、怪物集団トゥルー・ノットの面々が、銃で撃たれたらあっさり死ぬ、事故に遭っても死ぬという、ちょっと不思議な力が使える長生きさんなので、闘いがあっさりと終わってしまう。バトル要素が副菜でしかないのも一見さんには厳しい所。

 

②長い

作品自体が152分とかなり長い。

前半パートも、トゥルー・ノット一行と新たなシャイニングであるアブラの紹介、そして、ダニー・トランスが人間らしい生活を取り戻していくくだりが長い。『シャイニング』からの流れと後半パートへ向けて仕方のない準備なのだが、脚本も、彼女たちの紹介エピソードに終始していて、これといったパンチ力がないので、前作を知らない人に、この時間を見せるのは酷だと思うし、知らない人が「よっしゃ、観るか!」とはならないと思う。

興行収入面で『IT』と差が出てしまったのは、この初見さんお断りな内容であるためだろう。

 

まとめると、『シャイニング』ファンは観て損のない作品。未鑑賞で興味のある方は、必ず前作を観てからの鑑賞をオススメします(キューブリック版だけでもok。ジャック・ニコルソンの鬼気迫る演技はトラウマもの。今観ても恐怖を存分に味わえる名作)。

個人的には、大変満足できる一本だった。

今年鑑賞した中ではベスト級。オススメな一本。

 

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興味あれば覗いて見てください。

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