映画初心者のドラ猫ロボット

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コンジアム

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上映日:2019年03月23日 / 製作国:韓国 / 上映時間:94分
ジャンル:ホラー

監督:チョン・ボムシク 主演:ウィ・ハジュン

鑑賞日:2020/7/12

鑑賞媒体:DVDレンタル


【今作の★の数:★★★】 普通。

※『グレイブ・エンカウンターズ』を観ていない人には「★★★★良作。観て損なし」

 

★の数について

★★★★★ 最高。おすすめ。

★★★★  良作。観て損なし。

★★★   普通。

★★    残念。

★    うーん。

 

<この映画は、こんな人にオススメ!>

・ガチガチのホラー映画が見たい人

・POV形式の作品が好きな人

・「わー」「きゃー」な絶叫系映画が苦手でない人

・解き明かされない怖さや謎に納得ができる人

 

<オススメできない人>

・『グレイヴ・エンカウンターズ』を観たことがある人

・怖がりな人、ホラー映画が苦手な人


<あらすじ>

戦時中、旧日本軍により拷問や処刑の目的で建てられ、戦後は精神病院として開院したが、大勢の患者が謎の死を遂げたり、院長も失踪するなど不可解な出来事が多発したため廃院となったコンジアム精神病院。

人気動画配信チャンネル「ホラータイムズ」を主宰するハジュンは、そんないわくつきの心霊スポットに、一般からの参加者を募り潜入し、動画撮影をすることにした。自身は屋外で動画をチェックしながら指示を出し、スタッフ6人が病院内を探索し、最終的には幽霊が目撃されたという402号室に辿り着くという目的でコンジアム精神病院への潜入ライブ配信をスタートした。

ハジュンは金儲けのために、視聴者数100万人を目指し、スタッフともども病院内に仕掛けを施して、怪奇現象を演出。視聴者数は伸びていくのだが……突如異変が起こった。ドキュメンタリー調のPOV(主観映像)形式で描くホラー映画。

 

<感想>

個人的に、この映画を観る前の最大の注意点!

『グレイヴ・エンカウンターズ』という2011年にアメリカで撮られたPOV形式の廃墟探索型のホラー映画を観ていないこと。

これにつきるかな。

この作品を観ているかいないかで、感想は変化すると思う。

自分は、以前に観たことがあったので、点数が普通になっている。

ホラー映画としては、非常によくできた秀作だとは思うが、どうしても鑑賞中に既視感が邪魔をしてしまった。

どんなに優れた恐怖作品であっても、「この先にこういう展開があるよ」「入ってきた時はこうだったけど、これからここはこういう風に変化するんだよ」と前情報があると、観る側としては驚く「準備」が出来てしまう。そして、この「準備」というものが、ホラー映画を楽しむために一番足を引っ張る要素になってしまうのである。

そう。

両方の作品のネタバレになるので、詳しくは書かないが、『グレイヴ・エンカウンターズ』と『コンジアム』は、構成がとても良く似ているのである。

 

それでも、作品の出来映えとしては、設定や恐怖表現は素晴らしく、そもそものモチーフが実在の心霊スポットである。2012年にCNNの「世界七大禁断の地」のひとつに選出された、“韓国最恐の心霊スポット”といわれる京畿道広州市に実在するコンジアム精神病院跡を舞台にしている。本作公開時、韓国では、あの『レディ・プレイヤー1』を抑えてその週の興行成績1位を獲得。韓国ホラー映画歴代2位の数字を記録している。

 

本作品の感想を「良かった点」と「残念だった点」に分けて、書いてみたいと思う。

 

<良かった点>

①「動画配信者」という設定。

巧い。

現代のホラー作品を撮る。しかもモキュメンタリー調に撮るとなると、今の世の中では大勢が観ている個人の動画配信サービス(YouTube)の存在は無視できないと思う。そこで主人公たちを動画配信者という役柄に設定し、注目を集めるために過激なことをする、危険でも高評価・視聴数を稼ぐために無茶をする、というYouTuberの特性を上手く組み込んでいる。主人公たちを後戻りのできない窮地に追い込むための設定の説得力としてすごく納得できるし、巧いと思う。

動画配信者にとっては、どんな化け物よりも怖い、あのオチも秀逸。

 

②役者陣の顔芸

そこまで有名な俳優陣が出演をしているわけではないが、(韓流に疎いので有名な人が出ていたらごめんなさい)一人一人の過剰ともいえる絶叫、恐怖の表情が作品の怖さを盛り立てるスパイスになっている。動画配信なので、一人一人に定点カメラをつけて表情が分かるように撮影をしているのも、とても効果的。

特に中盤から終盤にかけての一人の女の子に起こる、顔のある部分の変化は、この作品のハイライトといってもいいだろう。あの場面は本当に怖かったし、気持ち悪かった。

 

③ホラー映画に振り切っている点

いわくつきの心霊スポットに行って無事で済むわけがない。ホラー映画だったり、怪談ではもはや古典ともいえる定番な話だが、それに作品自体が特化している。この割り切りはとても好印象だった。

心霊スポットなんで、説明のつかない現象が起こる。

心霊スポットなんで、成仏できない霊たちが蠢いて引きずり込む。

心霊スポットなんで、一端入ったら、ただ駆逐されていくだけ。

もうね、ディス・イズ・ホラー映画。

耐性のない人は注意が必要だと思う。

暗闇・音・怪奇現象・幽霊などなど、古典アイテムを次々にぶちこんで本気で怖がらせに来ている。

 

<残念だった点>

①どこかで見たような演出、展開

前述したがこれに尽きる。

<良かった点>②で触れたある女の子の演出、これ以外は、どこかで見たような展開であり、予想できてしまう想定内の驚きが続く。

※『グレイヴ・エンカウンターズ』を観た影響かもしれないが、こういったお化け屋敷探索型のホラー作品が似通ってしまうのは、ある程度仕方ないとは思う。

脅かし方も、パニックになった出演陣の絶叫であったり、暗闇でのちょっとした変化だったりとオーソドックスな力技の繰り返し。やたらと叫ぶ映画が苦手な人は注意が必要かも。

 

まとめると、廃墟探索型ホラー映画の秀作。

POV形式で撮られているが、手ブレもなくとても観やすい作品になっている。いわくつきの心霊スポットで訳の分からないものが襲ってくる恐怖は、ホラー映画のお手本ともいうべき出来。怖いのが苦手だったり、あまり心霊系のホラー映画を見たことがないという人は注意が必要かも。

ホラー映画を見慣れた人にも、主人公たちが「動画を撮る」という目的で最新の技術を駆使して視聴者を獲得していくという設定には、目新しさを感じると思う。

それにしても……恐怖をあおるには黒のカラーコンタクトレンズか。勉強になった。

 

補足:アヨン役の女優さん オ・アヨンがカワイイ! この作品、役者陣が皆、本名で出演している。なるほど最後までYouTubeっぽい。

 

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