パラサイト 半地下の家族(ネタバレあり)
上映日:2020年01月10日 / 製作国:韓国 / 上映時間:132分
鑑賞日:2020/8/2
鑑賞媒体:DVDレンタル
【今作の★の数:★★★★★】 最高。おすすめ。
★の数について
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★★★★ 良作。観て損なし。
★★★ 普通。
★★ 残念。
★ うーん。
<あらすじ>
全員失業中で、その日暮らしの生活を半地下の粗末な家で送る貧しいキム一家。ある日、長男ギウは、知人の紹介で丘の上にあるIT企業のCEOパク氏の家へ娘の家庭教師の面接を受けに行くことになる。パク家に気に入られたギウは、パク家の息子の家庭教師として、妹のギジョンを紹介する。そして、キム一家は超裕福なパク家に寄生しようと家族ぐるみの計画を立てるのだが……。
<感想>
この作品の受賞歴が凄い。
第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルムドール(最高賞)受賞。
第92回アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を受賞。非英語作品の作品賞受賞は史上初。
アカデミー作品賞とカンヌの最高賞を同時に受賞した作品は『マーティ』(1955年)以来、65年ぶりの快挙。
と、肩書だけみても、まさに近年の韓国映画を代表する傑作であり、扱っている題材も拡大する格差社会への批判と、全世界の身近にある問題を取り上げたことも時流に乗っている。
個人的にはとても楽しめた作品。
おそらく今後の映画史の中にも残っていくだろう怪物的な本作品の感想を、良かった点と残念だった点を挙げて、簡単ではあるが、まとめてみた。
<良かった点>
①作品としての構成、2つの家の対比が非常が巧み
印象に残ったシーンとして、都市部を大雨が襲い、街に避難勧告がされた場面が真っ先に思い浮かぶ。
大雨の中、丘の上のパク家は庭にテントを張りキャンプごっこをする息子を豪邸の中から見守り、半地下のキム家は家の全てが浸水し、家財ごと家族の思い出が水没していく。一夜明けて、パク家は優雅なクラシックBGMをバックにパーティーを企画し大きなワードローブから着る服を選び、キム家は避難所の物資を奪い合う喧騒の中で、パク家からの電話を受けている。
作品の冒頭から、事ある毎に貧乏人一家と金持ち一家の対比を、コメディ(喜劇)タッチで描いているが、観る角度によっては「持つ者の傲慢さ」「持たざる者の悲惨さ」というトラジディ(悲劇)になっている。
②随所に感じる格差社会への皮肉をエンタメにしている
主人公キム一家は貧乏だが決して自堕落ではなく、むしろ優秀で、様々なスキルを持っているのに、貧困から抜け出せない。
金持ち一家の雇い人たちを計画を立てて追い出す様は、まるで『オーシャンズ11』のようにスタイリッシュだが、成り上がるためには他人を蹴落さないと上に行けない社会構造への批判を観ていて強く感じる。
宣伝ポスターに「幸せ少しいただきます」と、あるようにキム一家はやってしまった行動はあれでも、そこまで過ぎた欲望を持っていたわけではない。普通に生活をしていきたいだけ、半地下で延々とピザの箱を折る内職から脱したいだけなのに、努力をしてもそれが叶わない。
終始一貫、近代韓国の格差社会を強く批判した物語になっているのに、説経臭さが微塵もなく、一級のエンターテイメントとして仕上がっているのは凄い。
さすがにアカデミー賞を取るだけのことはあると思った。
中盤で、キム家の母チュンスクが言い放つ、「金持ちなのに優しいんじゃない、金持ちだから優しいの」はまさに名言。
<残念だった点>
終盤のノワール展開。
個人的にはここにつきる。
キム家の家長ギテクが終盤にとるある行動は、社会に踏みにじられてきた貧困層の怒りと取れるが、それを直接的な行動として描いてしまったのは、良く言えば韓国映画らしいとも言えるが、悪く言えば怒りを暴力で塗り潰してしまっただけとも言える。それまでが凄く面白かっただけに残念だった。
韓国で広がる格差問題を笑いを織り交ぜて描く社会風刺映画の傑作。
深く考えなくても笑えて驚いて観れるし、考察しようとすればいくらでも監督からのメッセージが見えてくるという作品自体の深みが凄まじい。
ポン・ジュノ監督は、『殺人の追憶』の時も思ったが、笑えない題材を、エンターテイメントとして昇華させるその手腕には、素人の目から見ても「半端ないって。そんなん出来へんやん、普通」という最大限の賛辞が思い浮かぶ。
話題作や社会派作品、あと韓国映画が好きな人は観て決して損をしない作品だと思う。
補足:金持ち一家の長女・ダへ役を演じたチョン・ジソが凄くカワイイ。
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ユーザー名は「ドラえもんは猫型ロボット」です。
興味あれば除いて見てください。
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