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犬鳴村

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上映日:上映日:2020年02月07日 / 製作国:日本 / 上映時間:108分

監督:清水崇 主演:三吉彩花

鑑賞日:2020/8/30

鑑賞媒体:DVDレンタル


【今作の★の数:★】 うーん。

 

★の数について

★★★★★ 最高。おすすめ。

★★★★  良作。観て損なし。

★★★   普通。

★★    残念。

★    うーん。

 

<この映画は、こんな人にオススメ!>

・話題作を観たい人

・普段ほとんどホラー映画を観ない人

・ホラー映画が苦手でも観たい人

・B級映画が好きな人

 

<オススメできない人>

清水崇監督の作品が好きで、Jホラーが好きな人

・Jホラー特有のじめっとした湿り気のある怖さを味わいたい人


<あらすじ>

幼いころより霊が視える臨床心理士・森田奏は、兄の恋人・明菜が、「最恐の心霊スポット」と曰くのある犬鳴村を訪れたことをきっかけに事故死したことから、周辺で奇妙な出来事が起こるようになる。
飛び降り自殺なのに死因が溺死という明菜に続いて、親交のある医師も自宅で溺死。原因を探るために犬鳴村に行った奏の兄弟も行方不明になり、母親は気がふれたように犬の仕草をするようになった。

奏は幼いころより視える不可思議な霊の存在に導かれ、全ての元凶である犬鳴村へと向かう。

 

<感想>

作品の元となった犬鳴村伝説は、ネットのオカルト板で度々話題となる「超」がつくほど有名な都市伝説。

【犬鳴村伝説】

九州に実在する村で、日本の行政記録や地図からは完全に抹消されており、村には「日本国憲法は適用しません」という看板が立てられている。
村の出入り口である旧道の犬鳴トンネルには柵が設けられており、乗り越えると、異常に足の速い村人が斧を持って殺しに来る。助けを呼ぼうにも携帯電話は全てが「圏外」で、村付近にある公衆電話は警察に通じないという。伝説を聞いて、面白半分で犬鳴村に入った若いカップルが惨殺されたという噂がある。

 

以上のオカルト情報やネットでの映画の評判、予告編を見て鑑賞。

監督は、あの『呪怨』の清水崇、しかも実在の心霊スポットが題材と、本作は公開前から大きな話題になっていた。

しかし、公開後に聞こえてくる評判は、正直芳しくないものばかり。(ホラー映画なのに「恐怖回避バージョン」とはいったいなんだ?)

そのため自分も、TSUTAYAの新作コーナーの前で、

「借りようか……、でも評判良くないし、旧作になるまで待とうか……」

と散々迷った。

それでも結局は借りた。

だって夏だから……、Jホラーが観たかったから……。

 

結果、鑑賞前の不安が的中する形になってしまった。

本作品の感想を、良かった点と残念だった点に分けて挙げてみたいと思う。

 

<良かった点>

①導入部と、CMやパッケージなどの広報活動

まずは導入部分。

とても良かった。

犬鳴村に足を踏み入れたことで起こる不可思議な死や、それに付随する現象。三吉彩花さん演じる主人公・奏の”視える”体質という設定を効果的に使い、「これぞJホラー!」ともいえる原因をはっきりと明示しない陰鬱とした雰囲気が漂っていて、掴みはばっちりだったと思う。

特に序盤の奏の兄の恋人・明菜の死亡シーン。

犬鳴村に行って狂ってしまった明菜が、「おしっこ」と行って、奏の家を出ていく。明菜は失禁しながら田舎道をさまよい姿が見えなくなる。そして、明菜を探しに出た奏の兄に電話をかける。

『どこにいるんだよっ、明菜!』

『もうすぐだよ、もうすぐ行くから』

『は?』

『ほーら』

この時のスローモーションで映る明菜の笑顔の怖さ。純粋な驚きと、意味の分からない恐怖。秀逸なシーンだったと思う。

YouTubeで見た予告編や、DVDのパッケージ画像(トンネルが人の顔に見えるようにデザインされている)も、この映画の怖さを凝縮した作りになっていて、とても興味を惹かれた。

 

②ホラーの中にコメディ要素を入れる清水節

呪怨』の伽耶子や俊雄の白塗りの顔面を「バカ殿だよね」と表現したという監督の清水崇特有の演出。ホラー映画の中に差し込まれる笑ってしまう演出は、怖さを増幅される役割を担っており、今作でもそれは随所に見られた。

「犬が西向きゃ尾は東 尾が白ければ面白い」などのダジャレに、電話ボックスや病院内に群がる犬鳴村人などは、まさにコメディ的な展開。ダジャレが恐さを煽る展開なんて、独特だと思う。

 

と、良かった点や楽しめた点があったのだが、自分のつけた点数はとても低いものになった。

なぜか?

それは……、残念だった点があまりに大きすぎたため。

 

<残念だった点>

①後半の展開

一気にB級映画になった。

ともすれば、深夜にTVで流れている低予算ドラマ並みの唐突な展開に、鑑賞中頭の中では「?」がずっと浮かんでいた。

そもそもが、これだけ有名な都市伝説を、主人公一家森田の血筋の話に絡めて描いてしまうのは無理があると思う。「犬鳴村とは何だったのか?」がまるで明かされないし、真相が明かされるにつれて、Jホラー特有の薄気味悪さとは全く別のベクトルに向かって行ってしまった。

ホラー映画で怖がらせて欲しかった自分には、とてもとても残念な結果となった。

※特に、一連の出来事の元凶や結末で主人公に起こる変化はなんだったんだろう? あのファンタジー展開は、「一体、自分は何を見せられているのか?」と、とても混乱した。


本作『犬鳴村』に続く、恐怖の村シリーズの第2弾の製作が決定したみたいだが、今作で判断すると不安しかない。大丈夫なのだろうか……。


補足:監督一流、題材一流、俳優陣一流で、まさかB級映画をぶっこんでくるとは思わなかった。『フロム・ダスク・ティルドーン』を思い出した。

 

 

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