映画初心者のドラ猫ロボット

映画初心者が玄人になるために感想を上げていくブログ

とんでもスキルで異世界放浪メシ(漫画感想)

 

いつものはしがない映画初心者の感想を載せているブログですが、

たまには趣向を変えて、漫画を紹介してみることにします。

 

紹介するタイトルは、

『とんでもスキルで異世界放浪メシ』です。

 

もともとはネットの小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿されていたものが書籍化・漫画家されたもので、本日紹介するのは、その漫画版。

あらすじは ↓ こんな感じ。

 

<あらすじ>

現代日本から勇者召喚に“巻き込まれて”異世界へと召喚された主人公・向田剛志(異世界ではムコーダと名乗る)。一緒に召喚された少年・少女たちの戦闘に特化したファンタジーな能力とは裏腹に、彼が授かったのは、いつでもどこでもイ〇ンのネット通販サイトにアクセスでき商品を購入できるという『ネットスーパー』という一見しょぼい固有スキルだった。しかし、ムコーダは、このスキルで取り寄せた現代日本の食品などを利用し、様々な仲間を得て、旅を続けていく。

 

<感想>

昔、テレビで視聴率を取るために必要なのは、

「美味しい食事・かわいい子供や動物・美しい女性」

だと、有名番組のプロデューサーが語っていた記事を雑誌で読んだことがありました。

いつの時代でも、うまそうな食べ物をほうばる画だったり、かわいい子供や動物ががんばる姿だったり、キレイな女性が見せる仕草だったりは、人々の心を掴んできた、という証拠だと思います。いわゆるヒットの法則。

 

そのヒットの法則に照らせば、この漫画は、実にポイントを射ている。

 

まず、第一に主人公・ムコーダが作るメシが美味そう!

異世界ファンタジーなので、使う食材(主に肉)は、その世界にはびこる魔物を使って料理をするわけですが、そこは「なろう」の形式に則って、日本で自分たちが食べているお馴染みの料理を作ります。

ネットスーパーで取り寄せた調味料だったり、野菜だったりを使い、生姜焼きを焼いたり、照り焼きチキンやミートソースを作ったり……。

この漫画のページ数の半分は、ムコーダたちの食事のシーンが占めていますが、作画の赤岸K先生の描く、料理のイラストがこれまた抜群にうまそうで、見ているだけでもお腹がすく。

深夜に読んだら、まさにメシテロ。

想像してみてください。

こっちの世界で知ってるよりも大型で脂肪の乗った豚を使った生姜焼きの映像を……。

皿いっぱいにステーキ肉のような大きな肉が濃厚なタレに絡んでいる。それを「ウマイ!!」と絶叫しながらほうばる異世界の人たち。

生姜焼きの味が容易に想像つくだけに、実に美味そう……。

そして、ムコーダの料理を食べた異世界の戦士だったり、伝説の魔物だったりは、皆口を揃えていうわけです。

「こんな食事が食べられるなら、ぜひ一緒に旅をしよう」と。

 

そして、2番目のポイント

 

仲間になる魔物が皆、かわいい。

言葉をしゃべるフェンリル(大きな犬)に、素直で懐いてくる小さなスライム。

主人公・ムコーダは特殊な戦闘能力を持っておらず、危険な魔物や盗賊が跋扈する世界では無力な存在。ただ、彼の料理に惹かれた魔物たちが、ムコーダに寄り添い、助け、彼が旅を続けられる手伝いをしてくれる。

一国を滅ぼすほどの強大な力を持った魔犬が、食いしん坊で主人公を守ったり、人をドロドロに溶かすような強力な酸液を持つスライムが子供のように主人公にまとわりつくさまは、見ていてもとても微笑ましい。

※↓ ムコーダに従うスライムが主人公のスピンオフ漫画も発売されています。こちらも面白い!

 

美味しい食べ物、かわいい子供(動物)ときて、最後は美しい女性ですが……、ムコーダに女運がないのか、そこまで作中には登場しませんが、世界を司る女神たちもムコーダの用意する異世界の和菓子や洋菓子に興味津々で、勝手に女神の加護をつけたりもします。そこまで登場回数は多くありませんが……

(まあ、美味しい食べ物と かわいい魔物たちで十分な気がします。美女が加わったら、重たくて胃もたれするかも……)

 

と、ヒットの法則に照らした自分なりの解釈で本作品を紹介してみましたが、最後に、一つ自分が特に気に入っているポイントを挙げて、感想を終わりたいと思います。

 

自分が気に入っているポイント、それは……。

ムコーダに特に目的がないこと。

そもそも望まぬ異世界転移なので、ムコーダはこの世界で生き抜くために、争いを避け、国を変え、世界を放浪しながら旅を続けていきます。

フェンリルが取ってきた魔物を調理して美味しそうに食べて、また魔物を料理して美味しく食べる。フェンリルもスライムも実に美味そうに彼の料理にかぶりつく。そして、次から次に国を渡っていくと、生態系が変わり、出てくる魔物も変わっていくる。ムコーダ一行は、それらの魔物を日本でお馴染みの料理で美味しくいただく。この漫画はその繰り返しです。

悪く言えば単調ですが、よく言えばいつまでも続く、のんびりとした生活です。

何かと忙しなく余裕のない出来事や閉塞感が漂う現代日本からみると、彼らの生活は実に充足していて、かつ楽しそうに映ります。

よく「人間美味しいものを食べているときが一番幸せ」とか、「気の合う仲間と遊ぶのは楽しい」、とかいいますが、まさにその幸せや楽しい部分を、異世界転移という設定を使って最大限に表現した作品。

本作はそんな魅力に溢れたものだと思います。

 

今ならまだ漫画は5巻までと、比較的に追いやすいですので、是非読んでみてください。

とてもオススメです。