ダウンレイジ
上映日:2018年09月15日 / 製作国:日本アメリカ / 上映時間:90分
ジャンル:スプラッタースリラー
監督:北村龍平 主演:ケリー・コネアー
鑑賞日:2020/10/3
鑑賞媒体:Amazon Prime Video
【今作の★の数:★★★★★】 最高。でも、おすすめはできません。(人によっては★かも)
★の数について
★★★★★ 最高。おすすめ。
★★★★ 良作。観て損なし。
★★★ 普通。
★★ 残念。
★ うーん。
<この映画は、こんな人にオススメ!>
・『激突!』みたいなスリラー映画が好きな人
・スプラッター映画に抵抗がない人
・B級・胸糞映画が好きな人
<オススメできない人>
・胸糞映画が嫌いな人
・映画には、しっかりしたストーリーがないとダメな人
・血を見るのが嫌いな人(R15とは思えないほどグロい)
<あらすじ>
大学生の男女6人が相乗りし、周りに木と草しかない道路を車で横断していると、タイヤが突然パンクする。携帯の電波も不安定な場所、街までは遠く、車も通らない。仕方なしに、彼らはタイヤ交換を行うのだが、タイヤから一発の銃弾が転がった。パンクはアクシデントではなく、銃撃を受けていたことに気づくが……彼らを一人のスナイパーが狙っていた。
<感想>
悪趣味な映画!
荒野のど真ん中で、素性の知れない謎の狙撃手に襲われるというシチュエーションスリラー映画。
頭に穴が空き、車は吹っ飛び、人も炎上、そして、「そんなのあり?」というラスト。
YouTube動画『シネマンション』の斉藤さん風にいうと、
「最悪! 最悪!! 最悪!!! でもそれが最高!!!」
というのが個人的な感想。
本作のレビュー点数が軒並み低いのも頷けるが、個人的にはとても楽しめた。この感覚は、韓国映画『チェイサー』を観た時に、
「うわっ! 面白っ。でも、これを人にすすめたら、絶対引かれる」
と感じたのに似ている。
ちなみに「ダウンレイジ」とは「銃弾の射程圏内」を指す用語らしい。兵士たちの間では「戦闘地帯」を意味するらしいが。
本作品の感想を「良かった点」と「残念だった点」に分けて、書いてみたいと思う。
<良かった点>
①顔の見えない敵に襲われる恐怖と、そのための設定が面白い
スピルバーグの『激突!』は、顔の見えないトラック運転手に必要に狙われる恐怖を描いたスリラー作品だったが、本作『ダウンレイジ』も顔の見えない狙撃手に突然襲われる男女6名の恐怖を描いている。
この恐怖を表現するためには、「圧倒的な力を持つ敵に対して、逃げ場のない絶望的な状況」という限定的なシチュエーションが必要となってくるが、本作は、それをアメリカらしい「周りに何もない道路」という辺鄙でありながら開放的な場所に設定している。辺鄙だから、街まで何時間とかかるし、車も通らない。そして携帯の電波も不安定。冒頭数分でこのシチュエーションを説明する無駄のないカットもお見事。
また、登場する男女6名のそれぞれの人生背景も多くは説明せずに、無慈悲に蹂躙される様を焦点としたのは個人的には〇。
そういう狙いがあったのかはわからないが、無名な俳優陣を使い、あくまでスプラッター描写過激なスリラー映画に振り切っていることで、作品の深みは出ていないが、顔の見えない狙撃手との誰が生き残るかわからないバトルロワイアルに集中することができた。
②ドS全開のシーンの数々
浅学で映画初心者なため、北村龍平監督(実写版『ルパン三世』や実写版『あずみ』の監督)の作品は初めて観たが、「こんなにドSなのか!」と感じた。まるで三池監督のような作風だと思った。
そのくらいに、襲われる6人に対して容赦のない展開の数々。
作品冒頭から、撃たれて頭に穴が空くは、死体に虫たかってカラスが死肉をついばむは、喉カラカラの状況でなけなしの水を飲もうとしたら手ごと撃ち抜かれて血染めのペットボトルが転がるわ、と、痛々しいシーンの数々が、登場人物たちの絶望感を色濃く表していた。個人的には、撃たれて死んだのに、生体反応でいびきをかくという描写が妙なリアルさがあり、グロかった。
(これ、本当にR15? 18でもいいんじゃないの?)
中盤で、ある人物が何度撃たれても立ち上がるシーンは、まるで日本のヤクザ映画を見ているようだった。
それにしても……監督が日本人でも、俳優がアメリカ人だとリアクションがいちいちオーバーで見ていて画になる。とても画面映えがする。「日本人は口で会話をし、アメリカ人はジェスチャーで会話をする」という言葉が頭に浮かんだほど、主人公たちのやられっぷりがしっくりときた。
②オチ
「うわー、こうなるの!」
監督のドSさが全開な終わり方。これは賛否分かれるかもしれない。
でも、個人的には好き。
これだけ緊迫感のある展開続いて、最後これって。「ああ、B級映画だ」と思った。
でも、まあ、最後まで生き残る人選を考えたら、納得な終わり方だったかなとも思うし、そもそも×××が最後まで残るなんて想像もしていなかったよ。
あと、最後に素性の知れない狙撃手の銃のストックに殺害人数が刻まれていて、おそらくは従軍してPTSDとかで殺人鬼になってしまったという人物背景が垣間見えた。細かい演出だとは思ったが、好印象。
<残念だった点>
①矛盾のあるやりとりに力ずくな終盤の展開
おそらくこの映画の評価を下げているのが、この辺かと思う。
遮蔽物のない荒野で足撃たれて大の字になっているのに、「血を止めるために足上げてベルトで止血しろ」と指示したり(狙い撃ちされるよね)、「走って林に逃げ込もう」という提案に対して「走行中のタイヤを打ち抜くような精度の狙撃手相手には無駄死だ」と却下したのに、電波の良い場所探すために自撮り棒に携帯括りつけて伸ばしたりとか(普通に携帯撃ち落された)。いくらパニックになっているからとはいえ「え? そんなんして大丈夫なん?」と思うシーンがちょいちょい出てくる。
極めつけは、終盤の展開。
話を畳まないといけないとはいえ、彼らが登場してからの
「え? ええー? ……はあ?」は、力ずく過ぎたかなとは思った。
(ネタバレのため、詳しくは書けません)
まとめると、人には薦めにくいが、個人的にはシチュエーションスリラーの良作。素性の知れない敵に、道のど真ん中で襲われるという設定はとても面白く、襲われる男女6名のリアクションもいい。また、俳優陣も無名で、誰が生き残るかわからないバトルロワイアル的な面白さがある作品。ただ、スプラッター描写はとても過激かつオチまで含めて悪趣味なドSな映画(褒めてます)なので、人体破壊とか、血がドバドバとか、耐性のない人は観ない方がいいと思います。
映画レビューサイト フィルマークスに感想を投稿しています。
ユーザー名は「ドラえもんは猫型ロボット」です。
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