見えない目撃者
上映日:2019年09月20日 / 製作国:日本 / 上映時間:128分
監督:森淳一 主演:吉岡里帆
鑑賞日:2020/8/22
鑑賞媒体:Amazon Prime Video
【今作の★の数:★★★】 普通。
★の数について
★★★★★ 最高。おすすめ。
★★★★ 良作。観て損なし。
★★★ 普通。
★★ 残念。
★ うーん。
<あらすじ>
警察学校卒業式の夜、交通事故で弟を失った浜中なつめは、そのときの事故が原因で失明。3年後、警察官を諦めた彼女は、弟の死を乗り越えることができずに失意の中にいた。
そんなある日、なつめは車の接触事故に遭遇する。
その事故現場で車中から聞こえた、助けを求める少女の声から誘拐事件の可能性があると警察に提示するが、その事故現場にいたもう一人の目撃者・国東春馬の「少女はいなかった」という証言から、目の見えないなつめを目撃者足り得ないと考え、捜査を打ち切ってしまう。
しかし、諦めきれないなつめは、春馬とともに女子高生失踪を独自に捜査し始める。
<感想>
元は2012年の韓国映画『ブラインド』という作品のリメイク。
そう聞いて、「なるほど!」と納得。
事故により視力と弟を失ったトラウマを抱える女性。
世間からはぐれた少女たちと彼女たちを狙った凄惨な事件。
現実社会に溶け込むシリアルキラーの存在、と、
作品を構成する要素や全体に漂う暗い雰囲気、そして痛々しい死体の状況と、確かに韓国ノワールの匂いがした。
今作品の良かった点と残念だった点を以下に書いてみた。
<良かった点>
①主演の吉岡里帆さん。
視力と弟を失ったトラウマから現状に絶望しながらも、ふと遭遇した事件で発揮される正義感や弱者を労わる優しさなど、ハンデがあっても芯の強い女性である浜中なつめという癖のある役どころを上手く演じていたと思う。
事故後の最初のシーンでの、目は開いていても焦点の合っていない演技とかは凄かった。
②浜中なつめの設定
「見えない」人間が捜査を行うという設定が面白い。
安楽椅子探偵のように、並べられたデータを現場を見ずに解決するのではなく、視力を失ったことで得た優れた聴力や触覚などの他の感覚を使って状況を分析したり、危機を乗り越えたりするのは、制限があるだけに緊張感を生むシーンを作り出していた。最後の犯人との対決シーンもその設定を上手く使っていたと思う。
<残念だった点>
①細かな粗
猟奇殺人を扱った作品に多く見られる特徴だとは思うが、作品の緊張感を演出したり、主人公に危機を及ぼすために、警察を無能に描くとか、「現実ではそんなことありえないだろう……」という設定だったり描写だったりと出すことがあるが、本作にもいくつか見られた。
犯人に追われた主人公が地下鉄に逃げ込むが地下鉄が無人だった(都会でそんなことある?)とか、犯人を見つけた刑事が一人で先行して殺人鬼を逃がす(誰にも捜査状況を共有しないとかあり得るのか?)とか、警察でもない主人公に捜査内容をベラベラしゃべるとか。「そう演出しないと話が盛り上がらない!」というなら、もっとそれなりの理由を提示してもらいたかった。
②犯人の設定
元になった韓国版やリメイクされた中国版では物語の中盤に、犯人が顔出して、観客に提示されているらしいが、本作は終盤まで犯人を隠していた。少女たちを集められた理由やその意外性は良かったと思うが、主人公との対峙の際の自分語りは個人的にはいらなかったかな。また、語るのなら、もっと突き抜けた方が印象に残った。
シリアルキラーを扱うのなら、犯行動機や生い立ちなどはもっと隠された方が不気味さがあったのではないか。
主人公の設定が変わり種のミステリ映画。全体を通して重くて暗い雰囲気が漂う。
多くはないが遺体損壊シーンがあるので観るときは注意が必要。
韓国ノワール作品が好きなら見て外れはないと思う。
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ユーザー名は「ドラえもんは猫型ロボット」です。
興味あれば覗いて見てください。
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